桜庭一樹『少女には向かない職業』(ミステリ・フロンティア)

★★★★★★★★☆☆
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488017193/qid%3D1128307551/250-3416287-2597032

用意するものはすりこぎと菜種油です、と静香は言った



(何度も言ってますが)てっきり「女には向かない職業」のオマージュであり、桜庭一樹コーデリア・グレイ(女性探偵。萌え)が読めると期待していたのでその点が残念でしかたない(´・ω・`)>私事


一応創元ミステリから出てはいますが”謎解き””犯人当て”の要素は殆どありません。まあ桜庭一樹にその点を期待してる人は少ないでしょうし、期待している人が多い(であろう)ポイントである”少女”の部分は充分に魅力的に描けています。


今回の少女<ヒロイン>は”クラスでは明るく人気者。でも家ではアル中の養父に脅える少女”大西葵、”クラスでは目立たない図書委員。でも私生活ではゴシック服を身に纏い独特の雰囲気を放つ金持ちの娘”宮乃下静香。2人は出逢い、養父を殺すために”プロバビリティの犯罪”を仕掛けるが――


まず連想したのは貴志祐介の「青の炎」。「青の炎」のほうがより”犯罪としての殺人”を描いているのに対して「少女〜」は”日常の延長(出来事)としての殺人”を描いているという違いはあるけども、どちらも同世代の少年少女の心情を巧く描き出している点では名作。特に「青の炎」は一度読んでみることお勧め。


帯にも”『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の気鋭が贈る慟哭の傑作”とある通り桜庭作品では『砂糖菓子〜』が一番雰囲気が近いかな。ただ鬱度はそれほどでもないです。面白かったし桜庭が描く少女の心情はやっぱりいいなぁ、と改めて思ったものの『砂糖菓子〜』を超えるものではなかったかな。いや、この方向性でどんどん行ってほしいのだけど。


それにしても背表紙の解説で気づきましたが桜庭一樹、これが初の一般向け作品ですか。前から一般レーベルで充分闘えると思ってましたが遂に快進撃かな(笑) 余談だけれどミステリ・フロンティア伊坂幸太郎米澤穂信小路幸也と良い人材捕まえてくるよなぁ(笑)


私信)サイン会には行けませんでしたけど後日ジュンク堂でサイン本買ってきましたよ(笑)