『ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ』(富士見ミステリー文庫)

残酷、というか性格が悪いホラー。

「へぇー、これを富士ミスで出しちゃうんだ?」と普段「地雷だ」「どこがミステリ?」といいながら富士ミスLOVEなのでちょっとショック。マーダーライセンス使いまくりか。


とある屋敷で夫妻に仕えるメイドのシャーロット。主人に密かな想いを寄せるシャーロットだったが、ある日主人が死体を用いて「人形」を作り、生前の魂を込める仕事を請け負っているということに気づいてしまう。それどころか、一度も姿を見せない妻ミリアムも人形なのでは――?


「仮面の球体間接人形が純白のスピアードパラソルで襲い掛かってくる」、このホラー要素にワクワクするなら買い。なかなか悪意のある話なので人は選びそうです。

「探偵譚」ではなく、ストーリーの真実が明かされるという意味ではミステリー。うーん、よく出来たミステリーは思わず「騙された!」「すげぇ!」と拍手してしまうのですが、本作の場合は「えー、なんか卑怯じゃない?」というのが第一印象。”偶然”に説得力がなさすぎ……

ストーリーも微妙にツギハギ感が……たぶん意図してることだとは思うんですが。あとタイトルと山本ケイジイラストは完全なるミスリード山本ケイジのメイド絵」で買うような層にこの話は拒絶されそうだが

容赦のない残酷な話、またシリーズ通しての主人公(ヴァーテック)が完全なる悪というのがラノベにおいても珍しい感じ。

麗しのシャーロットに捧ぐ
尾関 修一〔著〕
富士見書房 (2007.1)
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