『かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリスⅠ』(富士見ミステリー文庫)

松竜絵のゴスロリ(ミニスカ)ツンデレお嬢様だぜイエッフー!

……まぁ、それだけ。

富豪のボンボン少年17歳が溺愛する妹9歳と一緒に屋敷に訪れたところ、屋敷に閉じ込められ、ゴスロリ少女が現れて自分は「人間の法で裁かれなかった罪人を裁く教誨師という人外だ」と述べ、更に「罪人はこの中にいる」と言う。なりゆきで少女の捜査(?)を手伝うことになった少年は――

うーん。探偵役が人外、かつソレがお仕事ということもあって「その場所に刻まれた記憶を観ることができる」能力持ち。推理もへちゃむくれもあったもんじゃない。一応当然ながら「万能」ではないんですが…なんつーか、推理モノのカタルシス皆無だよなぁ。能力で過去を見て「あの人が犯人だったのか!」じゃなくてちゃんと推理で犯人当てろよ……。更には「<いつ><誰が殺されたのか>」すらもその能力で調べろ、と中盤までそれすらわからずに話が進行するものだから、読者としても困ってしまうま。

この能力のためか、文章もEpisode番号が連番で振られて、「過去」と「現在」の時系列がわかるようになっている……の、です、が…「過去」の文章に「現在」の感想が紛れ込んでいたりしてなんてゆーか、お粗末に過ぎる

まぁ、「誰が犯人かわからない状態で閉じ込められて」という緊迫感…も大してあるわけではないのですが、それなりには話は転がるのですが……いや、主人公よ、お前、「前世は賢者か」とか言われてるが単純に馬鹿だろう? 文章中ではさも「頭がいい」「策士」っぽい扱いをされているのですが実際その行動は穴だらけで幼稚というか稚拙というか……。いや、それは作品全体がそうなのだろうか?

うーん。序盤、主人公がシスターさんに「シスコン」「ペド」「非モテ」となじられるあたりは面白かったのでちょっと期待してたんだけどなぁ。松竜絵のヒロインたちも好みなんだけどなぁ(特に君影さんが)。

かくてアダムの死を禁ず
海冬 レイジ〔著〕
富士見書房 (2007.3)
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