「夜の光」(新潮社)

 寂しさとうっとうしさ。どっちを取るかと聞かれたら、俺は迷わず寂しさを選ぶ。うっとうしさに罪はないが、俺はとにかく身軽でいたい。いつ、どこへでもすぐに旅立てるような自分でいたい。だからべったりしてくるような友人は作らないし、仲間も選んだ。
 寂しさはきりりと澄んでいて、冬に似ている。(P210)