名台詞

「夜の光」(新潮社)

寂しさとうっとうしさ。どっちを取るかと聞かれたら、俺は迷わず寂しさを選ぶ。うっとうしさに罪はないが、俺はとにかく身軽でいたい。いつ、どこへでもすぐに旅立てるような自分でいたい。だからべったりしてくるような友人は作らないし、仲間も選んだ。 寂…

『たま◇なま(5) 〜こわいものはありますか?〜』(HJ文庫)

「色々、あるだろうけど、さ」 「何も、別に」 「ちゃんと考えて、結論を出さなきゃ駄目よ」 「……何も、悩んでないって」 「やって後悔する事も、やらなくて後悔する事も、両方、よくある事だけど」 「…………だから、何も」 「するなら、なぜするのか。しない…

『オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog』(角川スニーカー文庫)

「別に……」うつむく――とっくに吸い終わっていた吸殻を灰皿に放り込む。「なんにもねーんだよ……あたしには、人に胸張って説明できることなんて……」(中略) 「ちくしょうッ、どうやったら消せるってんだ。あんたの言う、臭い劣等感ってやつをッ!」(中略) …

『きみとぼくが壊した世界』(講談社ノベルス)

(ライトノベルについて) 「面白いんだよ。このジャンル、新人がごろごろ出てきてさ。最近の持論なんだが、デビュー作より面白い小説を書く作家はいないな」 「それはさすがに定義が乱暴すぎないかい?」 持論というより暴論だ。とは言え、与太話としては面…

『きみとぼくが壊した世界』(講談社ノベルス)

様刻くんはそれなりに読書家であり、また一時期、かなり深いレベルで推理小説に傾倒していたらしいのだが、どこかではぐれてしまったらしい。蛇足となりかねない注釈をしておくと『はぐれてしまった』というのは、まあ、柔らかい表現である。好きだったジャ…

『初恋よ、さよならのキスをしよう』(創元推理文庫)

「(中略)バレンタインの日は約束できないけど、ホワイトデーには君に薔薇を持ってくる。三十八本ではなく、二十年前に戻って、十八本の赤い薔薇を」(P240)

『円環少女6』(角川スニーカー文庫)P244

「悪いな。おまえの命、しばらく俺にくれ」 だが、メイゼルはうつむいて、ワンピースの肩に仁がのせた右手をぎゅっと握った。 「あたしから、命だけなんか切り分けられるわけないでしょ? そんなの、あげないの」 そしてあどけない魔女が、振り向いてほほえ…

『円環少女6』(角川スニーカー文庫)P334

「俺は、たぶん、子どもがあたりまえに成長しておとなになる、あたりまえのことが現実になってほしいんだ。そんなことのために、誰かが苦しい思いをしなきゃいけないなら、そばにいるおとなが踏みとどまってやるべきじゃないか? メイゼルはしあわせになって…

『初恋よ、さよならのキスをしよう』(創元推理文庫)

それぞれがみんな人生のどこかでボタンを掛け違えたと感じながら、それぞれに時間を消化してきた。俺のボタンも正しい位置に掛かっているとは思わないが、しかし俺はこんな人生をもう一度やり直したいとは、思わない。(P234)

『初恋よ、さよならのキスをしよう』(創元推理文庫)

「ロマンチストなのね。柚木くん、昔から本当はロマンチストだったのよね」 同じことは昨夜、春山順子にも言われた気がする。しかし他の男に比べて俺が特別にロマンチストというわけではないのだ。女は生きているだけで存在するが、男は生きているだけではた…

『初恋よ、さよならのキスをしよう』(創元推理文庫)

「昨夜、実可子の家で柚木くんに会ったとき、ものすごく驚いたの。柚木くんってああいう場所に一番似合わない人だったものね」と、バーボンの水割りをうすめにつくり、コースターの上にグラスを置きながら、春山順子が言った。 「自分に似合わないことをする…

『初恋よ、さよならのキスをしよう』(創元推理文庫)

壁を通してしか他人の体温を感じられない心の渇きも、慣れてしまえば、それはそれで持って生まれた体質のように、いつかは躰に馴染んでくる。その体質に満足していたわけではなかったが、自分の意志や努力では制御しきれない人生を背負っているからこそ、人…

『レンタルマギカ妖都の魔法使い』(角川スニーカー文庫)P183

(……本当に、あなたは今も進んでるのですわね) 穂波は、アディリシアとは違う。 いつも完璧であろうとするソロモンの姫とは違って、このケルトの魔女は何度も失敗し、何度も迷い、そのたびに少しずつ強くなる。ともに<学院>で学んでいた頃から、少女のそ…

『クリスマス上等。』(MF文庫J)P112

「……ん」母は気だるげに娘に目をやった。「まだいじけてんの?」 ゆかりは頬をふくらませてそっぽを向いた。 「仕方ないじゃん。善一は仕事なんだから。今夜もせっかくのイヴだけど……運が悪かったのよ」 「お母さんはさびしくないの?」ゆかりは弾かれたよう…

『月光のカルネヴァーレ1 白銀のカリアティード』(ガガガ文庫)P167

「生は過酷です。生まれてしまったのだから、生きなくてはなりません。そのときそのときの快楽を寄せ集めて、飢えを満たしてやらなければなりません。やがてそれができなくなっても、死ぬまでは生きなくてはなりません」

『暗闇にヤギを探して 3』(MF文庫J)P100

「大気圏脱出前のロケットはまだ地球の重力下にあるから、燃料を使って推進力を得なきゃいけないわけ。そりゃもうものすごいエネルギーが必要なわけよ。自分のことずっと好きでいて、とかずっと自分のそばにいて、っていうのは、そういうのと同じ凄まじいエ…

『バニラ』(集英社スーパーダッシュ文庫)P347

「甘そうに思えても現実は甘くないものさ。一舐めすればそれが知れる。気づくのはいつも口にしてからだ」 「おれたちはバニラの房を口にする猿、か」 「なんです、それ?」 元川が中谷に訊いたそれには、中島が答える。 「乾季を経たバニラ。その房の香りに…

『円環少女 5 魔導師たちの迷宮』(角川スニーカー文庫)P106

「せんせってときどき、荷車を引くウマみたいにつらそうな顔をするのね。でも、ウマって、背中にご主人様を乗せてお尻にムチを入れられてるときが、一番生き生きしてると思うの。せんせも、ムチをもらったウマみたいに、大声ではずかしいこと言いながら汗を…

『円環少女 5 魔導師たちの迷宮』(角川スニーカー文庫)P54

「せんせ、はじめたあたしたちが会ったときみたいな顔してるわ」 「そうかな。前よりちょっと締まった顔になってるんじゃないか?」 メイゼルは、彼の手の甲に、やわらかい爪を立てたり指をつまんだりして遊びはじめる。明日を知れない少女は、生の確かさを…

『とある魔術の禁書目録(インデックス) 13』(電撃文庫)P67

『いい加減に現実を見るんだ。そんな事ができないのは、無様に這いつくばった時点で分かっているだろう? いいかい、君はただでさえ負けている。勝つ事すら難しい相手に対して、さらにそんな夢のある希望を並べた所で何になる。妥協をしろよ、一方通行。打ち…

『草の竪琴』(新潮文庫)

本日公開の新海誠『秒速5センチメートル』。その予告編で少女が駅のホームで読んでいた本が本書。(ちょうどyahooのサムネイルがその場面ですね)こういうのは作品への暗喩だったり、オマージュだったりするので(出来れば観る前に)読んでおくのが個人的な…

『ムシウタ 08. 夢時めく刻印』(角川スニーカー文庫)P319

ネタバレ反転。 【11:27削除・追記】ってRSSで反転できないじゃん('A`)ゴメン【追記終了】

『僕僕先生』(新潮社)P16

「働かず、何も学ばず、そして何もなさず。前々からおまえの生活態度は最低だとわしは思っておる」 確かにその通りではあるが、父とはいえそう思いっきり言われると王弁も面白くない。鼻白んでいる息子を前に王滔は続ける。 「しかしおまえの生き方、それは…

『ミミズクと夜の王』(電撃文庫) あとがきP265より

私安い話が書きたいのよ、と、熱に浮かされた病人みたいに、たち悪くくだを巻く酔っぱらいみたいによく言ったものです。私安い話を書きたいの。歴史になんて絶対残りたくない。使い捨てでいい。通過点でいいんだよ。大人になれば忘れられてしまうお話で構わ…

『少年検閲官』(ミステリ・フロンティア)P213

「私は完璧な検閲官だが――心は失われている」エノは軽く胸に手を当てた。「ここもすでに検閲済みというわけだ。それはすべてにおいて都合のいい、よりよい形であるはずなんだ。しかし、君の目を通して見た時、まだ私の心の何処かに失われていない何かが見つ…

『少年検閲官』(ミステリ・フロンティア)P202

「僕の推理が正しければ君は――人魚なんだ」

『声で魅せてよベイビー』P259

『ワタシは一人で戦える。戦えるつもりでいる。でも、他の人はどうなんだろう。そういう風に、いつも不安に思っているの。 当然よね。だってみんな、とっても幸せそうに生きているんだもの。どうみても一人で戦っているように見えないのに、ものすごく幸せそ…

【まなめはうす様より】 ★お前らが一番感動した名言 40 :閉鎖まであと 4日と 19時間:2007/01/19(金) 01:06:49.07 id:Hzc4ryxS0 「 日本がダメになったのは、ダメになったと言う大人が増えたからだ 」 祖父 42 :閉鎖まであと 4日と 19時間:2007/01/19(金)…

『疾走する思春期のパラベラム』(ファミ通文庫)

Si vis amari,ama. ――愛されることを望むなら、愛せよ。Si vis pacem parabellum. ――シィ・ウィス・パケム・パラベラム。 汝、平和を望むなら戦争に備えよ。

『DDD 1』(講談社BOX)P143

「いいですか。無条件に愛されなかったもの、社会に迫害された人間は、総じて自身の価値を喪失している。愛されなかったから、居場所を与えられなかったから、自分に価値があると思えない。一生卑屈に生きていく。その欠落、マイナスを取り戻す事はできませ…