周防ツカサ『インサイドワールド』(電撃文庫)

★★★★★☆☆☆☆☆


第5回電撃hp短編小説賞<大賞>受賞作――の、はずなんですが……正直これが大賞とは思えない…


エスケープ×エスケープ」
……えっと、新人無名ライターが泣き系エロゲシナリオ書きましたって感じ。しかもシーンだけ思いついている感じでストーリーがツギハギで整合性が取れていない、登場人物の心情変化の原因がまったくもって不明とそういった部分までまんま。ストーリーとしても「無口無感情少女の心を開かせる」というありきたりな内容で、そこから先に目立つものは見つからなかったかな。


「放課後の虚構」
ストーリーはありきたり。キャラクターの魅力も薄い。そしてなにより「主人公=煙草ポイ捨て ヒロイン=他人が読んでいる小説のネタバレをして罪悪感いっさいナシ」という俺モラルで言うところの”人間扱いする必要もないクズ”認定なのでもうどうでもいい。


「透明少女の無職なランデブー」
これだけは見事にやられた。序盤で「ふっざけんなぁぁぁっ!!!」と本を壁にぶん投げようかと思い、「うーあ、続き読みたくねぇーっ('A`)」と思ったのは久しぶり。いや、こう思うこと自体が作者の罠だったんだろうけど見事にはめられた。


総じて目立って悪いところもないけど突出したものも感じないなぁ、という感じ。まぁ電撃文庫の賞っていつもそんな感じでちょっと尖ってて奨励賞あたりに落ちついた作品が人気出たりしますしね。