『DDD 1』(講談社BOX)

まー、このサイト閲覧者層を考えても今更奈須きのこを他ラノベなどと同様に「おすすめ」「紹介」なんて烏滸がましいわけで。奈須きのこがある程度わかった上で「値段分の価値があるかと言えばある。雰囲気は『空の境界』。」という印象さえ言ってしまえば十分な気も。

それは骨の軋む幽(しず)かな夜。花開くような、美しい命の音。
――Decoration Disorder Disconnection

感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、A(アゴニスト)異常症患者――俗に言う“悪魔憑き”が蔓延(はびこ)る世界。左腕を失った男、石杖所在(アリカ)と、漆黒の義手義足を纏い、天蓋付きのベッドで微睡(まどろ)む迦遼海江の2人が繰り広げる奇妙な“悪魔祓い”とは――!?
“日常”と“非日常”が溶け合う“たった今”の世界を“奈須きのこ”という稀代の才能が描破する!

衝撃の“新伝綺”最新章!物語は境界の“向こう側”へ!

4編(1編が前後編なので3話)のうち3編は既に『ファウスト』で読んでいるため再読。書き下ろしの1編は遂に妹の話。DDDの最萌はカイエだと思いますが妹もヤバイね!(ゴスロリ→ウェディングドレスの流れは凄い好きなのだけれど挿絵がウェディングドレスに見えないのが残念) にしても妹のサンドバックはギャグだよなぁ。

 先が気になってどんどん読めることと、世界観構築の見事さは折り紙付き。シナリオも面白い。が、難を言えば「(重要ネタバレ→)語り手誤認の叙述トリック」に頼りすぎな感じ。1編だけならまだしも流石に多くて「またそれかよ!」な気分。前編を読み飛ばしでもしなければ割と違和感はすぐ感じられるでしょうし。まあ面白かったんですけど。

 あと書き下ろしの1編もシリーズのコアになるであろう妹の話をここで安っぽい偽話で出しちゃうのは勿体なかったなー。本来のエピソードはまだ謎が残っているのに読者の感覚としてなんかもう「読んでしまった」というか、このエピソードに対するワクワク感が既に満足してしまった感じ

 「1」とあるので続くでしょう。巻末の年表を見るとあと1巻くらい?(でもそれだと上下で出せばいいので1編に1巻とか当てるのかな?) 一応この巻でのエピソードはきっちりカタをつけているので御安心を。

#太田編集長の「この人は、やっぱ天才だわ!」の丸いシール(あ、ポストイットみたいな感じで綺麗に剥がせます)、なんつーか、こういうこと言っていいのは書店員のPOPまでっていうか、編集長が言うと痛いっていうか正直引く

DDD 1
DDD 1
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1.14
奈須 きのこ著
講談社 (2007.1)
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