『太陽戦士サンササン』(富士見ファンタジア文庫)

おや。

タイトルからして新人賞4作品のうち真っ先に地雷に違いないと確信していた作品だったのですが……

面白くね?

作者が真性に「太陽戦士サンササン」とか「閃光魔術 地獄バーニングッ!!」をかっこいいと思っているのではなく、主人公も「恥ずかしすぎるわッ!」と突っ込むだけの良識は持ち合わせていたのでセーフw ちなみにこのネーミングセンスは異世界から逃げた魔王を追ってきた勇者(現在ヘルメットに憑依)のです。

警視庁零課は「咎人」と呼ばれる元・凶悪犯罪者を用いて荒事を解決する部署。その部署の「咎回し」・鉄斎は薬物で封印していた極悪のテロリスト・詩菜を「咎人」として牢から出して事件解決にあたることに。その詩菜こそ7年前に別たれた鉄斎の姉であったのだが、その折異世界より魔王と勇者がこの世界へ飛来し、勇者と鉄斎は運命の邂逅を果たす――

勇者と魔王がその単語から受けるファンタジーファンタジーした読んでて背中が痒くなる存在ではなく、割と人間味のある人格で助かった。登場人物も総じて芯の通った人格なのでストレスなく読めました(個人的に重要なポイント)。

展開としては割りと王道な人間関係(主人公と喋る武器の友情。主義主張による別離と共闘)の一本線を歩いてる感じなんだけど、まだ新人ということで足元がふらふらしてる感じ。ただ王道は王道なのですっきり楽しめたかな。

他の方の感想見てるとタイトルから「勧善懲悪ヒーローモノ」を期待して買った人はがっかり、逆に私みたいに「明らかに好みじゃないけど新人だしチェックしておくか…」な人には予想外に楽しめたのかな? あと『破壊魔定光』のパクリだろ、って言われてるけど未読なので知りゃんせん。

余談)あと個人的に主人公が22歳ってのがいい。イラストのスーツが学生のブレザーにしか見えないけど。ラノベの購買層考えても主人公が学生年齢になるのは当然だけど「おま、この歳でこれ(人格、職業、能力)はねーわwww」と偶にふっと覚める瞬間があるのでw

太陽戦士サンササン
坂照 鉄平著
富士見書房 (2007.1)
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