『幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ』(富士見ミステリー文庫)
おー、化けた化けたw
『フォルマントブルー カラっぽの僕に、君はうたう。』、『熾天使たちの五分後』は「悪くないけどなんか設定が”作者だけ満足してる”っていうか読者からすると上滑りしてる感じがするなぁ」という感想で実際あまり話題になっていなかった気がするけど、2年ぶりの本作はSF要素を排して「片田舎を舞台にした少女2人のひと夏のエピソード」とすることで見違えました。改名(瑞智士記)して漫画原作とかしてたからでしょうか?
さて本作。片田舎のある夏、少女は駅に向かって歩いていた。電車に乗るためではなく、飛び込み自殺をするために。しかし駅は無人、貼り紙によると1ヶ月前に廃線になっていた。線路の上で仰向けに寝ていると美人が声をかけてきた。天才の芸術家・リガヤ――躁気味の変人だった。
少女の家に転がり込んできたリガヤ。廃線となった電車を「幽霊列車」として蘇らせると宣言し寝食を忘れがちなリガヤの世話をすることになってしまう少女。その幽霊列車に轢き殺されるのを約束させて――やがて少女が自殺する理由、リガヤの過去、そして目的があきらかになり――
桜庭一樹の『少女には向かない職業』と『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』の雰囲気に近い感じ。破滅的な結末を予感させながら日常は楽しげなガール・ミーツ・ガール。これは下期のオススメにランクインですね。
映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が少女の根幹となっていることからこの映画のストーリーはかなり説明されてしまうのでネタばれ注意。作中のエピソードとして説明は必要なのでしょうがないとしても冒頭あたりに注意書きする親切さが欲しかったな……
幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)
- 作者: 木ノ歌詠,尾崎弘宣
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
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