『初恋よ、さよならのキスをしよう』(創元推理文庫)

「昨夜、実可子の家で柚木くんに会ったとき、ものすごく驚いたの。柚木くんってああいう場所に一番似合わない人だったものね」と、バーボンの水割りをうすめにつくり、コースターの上にグラスを置きながら、春山順子が言った。
「自分に似合わないことをするのには不感症になっている。俺には生きること自体が似合わない」(P122)