『初恋よ、さよならのキスをしよう』(創元推理文庫)

「ロマンチストなのね。柚木くん、昔から本当はロマンチストだったのよね」
 同じことは昨夜、春山順子にも言われた気がする。しかし他の男に比べて俺が特別にロマンチストというわけではないのだ。女は生きているだけで存在するが、男は生きているだけではただの、幻影でしかない。(P188)