『乙女はお姉さまに恋してる 櫻の園のエトワール』(ファミ通文庫)

処女はお姉さまに恋してる2』。

通称『おとボク』といえば3年前の発売の頃には”お嬢様学園で「ごきげんよう」&姉妹制度”という設定がやれ『マリみて』のパクリだと叩かれていたのを、ちゃんとした独自の面白さで黙らせたという良作18禁PCゲームです。祖父の遺言で女装してお嬢様学園に編入してしまった主人公(♂)は女子顔負けの人気でついには全校生徒憧れの”お姉さま”(エルダーと言う)に選ばれてしまって――というストーリー。サブキャラまで含めてキャラが全員魅力的。特に「ツンデレラ厳島貴子(ツンデレ+世間知らずお嬢様+純情)の人気が段々と上昇していき、今ではツンデレの代表格の1人ですね。ええ、大好きですよ。

アニメにもなり、声優全員変えるのかよ!と放送前から問題がありつつもなかなか出来は良かったです。あえて個別ルートには進まず全員大団円ENDみたいな。ニコニコ動画でもヨダ(絵師の名前)絵のEDのMADがあったりして割と今でも人気ある?


さて、ざっくりと説明終わり。で、このゲームのノベルス版が出たのですよ。基本的に私はノベライズものには期待してないので今回もスルーのつもりだったんですが作者がPCゲーム版のライター、かつストーリーが後日談というのを知り本屋にダッシュ

ストーリーはゲーム版でメインだった学年が卒業した春から。ゲーム版で妹キャラだった奏、由佳里も2年生。あらたに男っぽい乱暴な言葉遣いの長身の少女と、おどおどした人見知りなお嬢様が入寮して奏と由佳里はそれぞれ2人の”お姉さま”に。そこから1年と半年、次のエルダー選出までのエピソードをまとめた短編集が本作。

やー、やっぱこの世界良いわー。キャラが全員優しげで癒される。奏が2年生になったとはいえ、ロリキャラからしっかりなりすぎじゃね? とか最初は違和感がありましたがところどころ以前の奏っぽくて懐かしい。あと君枝さんの卒業までが読めたのが個人的にツボ。原作の主要キャラもちょい役で登場(もうちょっと掘り下げがあってもよかったとは思いますが)して原作のストーリーの後もみんな仲が良いんだなー、としんみり。

ちなみにあとがきによると一応貴子END後。あとがきと言えば「ゲームでは単行本10冊程度の量にTVアニメ2クール分程度の内容を入れるのが大体今の平均だと思う」という記述があってわりと納得。あとあとがきや作者紹介では「乙女」(本書、コンシューマー版、アニメ版のタイトル表記)ではなく「処女」(原作の18禁版のタイトル)と表記してるあたりがやっぱりこだわりあるのかなー、と邪推。


やー、本当に『処女はお姉さまに恋してる2』というゲームにして発売してほしいくらいですね。『1』に比べるとややキャラが弱いですがシナリオでカバー、ケイリが主人公なら男主人公にこだわらずとも良作になりそうな予感。…まああとがきによると「最後」らしいのでないでしょうけど。

ちなみにキャラを知らないゲーム未Play者にとっては辛いと思います。エピソードぶつ切りを詰め合わせた構成なので単品で楽しめるとはあんまり思えないので。アニメ版を観て『おとボク』が好きなら楽しめるかも。まあ君枝さんがああなっていて吃驚かもしれませんが(笑)