『ドラゴンキラーあります』(C・NovelsFantasia)

2007年下期ラノサイ杯新規部門で6位(14票)を獲得したシリーズ。第3回C★NOVELS大賞の<特別賞>受賞作でもあります。タイトルから王道の“剣と魔法”ファンタジーかと思ってたら銃と怪力(笑)のノワールハードボイルド風でした。でも堅さや鬱さは少なくてライトノベルって感じ。新人なのに目立った粗がなくてベテランの文章みたい。キャラクターも好みだし、全3巻ってのも手を出しやすい。早速全部読んじゃおう。


舞台はヨーロッパ風の下町。殺しや裏切りは当然の無法な街でアルコールに逃げながら便利屋をしている元軍人のココ。仕事にケチがついた日、ココは験担ぎにパン屋のショーウィンドウを眺め続ける少女アルマにパンを恵む。アルマに懐かれたココだったが、実はこの少女は継承問題で命を狙われる皇女だった。なりゆきで嫌々ながらアルマを守ることになってしまったココはアルマを護るドラゴンキラーの少女リリィと共闘してアルマを狙う商会に対することに。

ドラゴンキラー。竜の肉を食べた1万人に1人が死なずに半竜の強靭な肉体を得た超人。個人で兵士1万人相当の戦略単位に数えられ、唯一竜を殺せる存在。最後の、国に裏切られた戦争でココを除く全員を敵味方区別なく虐殺し、今なおココに悪夢と頭痛というトラウマを残したのもドラゴンキラーだった。リリィは共闘の交換条件としてココにそのドラゴンキラー・レクスへの復讐の協力を約束する。果たしてココとリリィはアルマを救いだし、レクスへの復讐を果たせるのか――


ココや、ココが行きつけにしてるカフェの店主とウェイトレス、情報屋も無法者だけあってココを金のために当然のように裏切ったりするんですが、そもそもが胸派と尻派でガチ喧嘩したりする、どこか愛嬌のあるキャラクターなので変に嫌な気分にはなりません。ココも雑魚さんは割と容赦なくポンポンと殺して平然としてるんでそこがちょっと心証に影を落とすけどまあ、そういうのが嫌いな人でも許容範囲じゃないかな。

キャラクターとしては、アルコールと煙草に逃げているダメ人間のココは他人を裏切って当然の無法者ルールをよく言うわりに流れで他人を助けてぷちいい人になってるあたり笑えます。ラノベには珍しく、おろおろしたりしない大人の男なんで良い感じ。

ヒロインのドラゴンキラー、リリィ。男言葉で、他人や世間を善人だと思って疑っていない純情で世間知らずな娘。そのため圧倒的な怪力を持つのにココの嘘やからかいにいいようにあしらわれてあうあう。スタイリッシュな美人系なのに可愛いなぁ。そしてドラゴンキラーは燃費が悪いので大食いのハラペコキャラでもあります。

余談ですが、私この手の「男言葉で純情まっすぐ、でも世間知らず」っていうキャラが好きな属性な気がします。CLANNADの智代とか、Fateのセイバーとか。誰かこれに良い感じの名前つけてくれないですかね?(他力本願)

ドラゴンキラーあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラーあります (C・NOVELSファンタジア)