桜庭一樹『ブルースカイ』(ハヤカワ文庫)

★★★★★★★★★★☆

桜庭一樹の少女論”


という「うわ、読みてぇ!」と思うものを思いがけず読めて嬉しかったり。桜庭一樹一般作品への進出2作目はSF。「GOSICK」とも少女シリーズ(勝手に命名。「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」等を指す)とも毛色が違うので新しい桜庭一樹と言った印象。地の文も多いし、全体的にしっかりSFしてるので慣れない人はちょっと戸惑うかも。「一気に読み進められる」タイプでもないし。


あらすじは、うーん、どこまで言えばネタバレなのか難しいなぁ。”少女という概念をめぐる3つの箱庭の物語”(帯より)なんですがそれぞれ”魔女狩り””人工知能の少女””女子高生”というキーワードのみ紹介するに留めておきます。


個人的に2つめの”人工知能の少女”についてもっと掘り下げて欲しかったなぁ。「こどものからだに埋め込まれた、女の心。偶発的な幼形成熟ネオテニー>」(P253)という言葉が表す通りかなり魅力的だったので。他の作品で登場しないかしら。


あと桜庭一樹の初期の作品は未読なんですが3つめに出てくるような”イマドキノワカモノ”っぽい女子高生は初めてじゃないかしら? 性に関してあけすけな感じなのも珍しい印象。ハヤカワ文庫で購買層の年齢が高めだからですかね? うーん、彼女の考えていることは桜庭一樹らしく見事に本質を見つめていると思うんだけど(カラオケのあたりとか)……やっぱり他の作品のように”普通に馴染めない、というかどこか疎外された感じの子”のほうが読んでて好きだなぁ。


余談)ひとつめのムービーはラストシーンが”折り紙”なので『ブレードランナー』で間違いないと思うけどふたつめはなんだろう?