『108年目の初恋。』(ファミ通文庫)

ヒロインは「旧校舎」(そのもの)

いやもうこの一言でしょうw 途中から擬人化(もとい顕現)して女の子の姿になるとは言え、途中までは無鉄砲な少年を微笑ましく見つめるだけのヒロイン(旧校舎)。これが序盤で顕現してたら一束いくらの作品なんですが、割と途中まで主人公を”遠くから見つめる”だけなのがノスタルジックでいい感じです。まあ最終的に女の子になるんですが…ぶっちゃけ人にさせずに最後まで行ってくれれば段違いな好評価だったんだけどなー。まあ無理か。

ストーリーは無鉄砲な子供っぽい直情径行な少年と、「旧校舎」の清純派な少女の初恋。なんてゆーか、子供のお遊戯みたいな恋愛話。主人公の精神年齢低いしファミ通文庫だからこれで正解なのかもしれませんけど、なんかちょっと物足りない。まあドロドロな話やられてもせっかくのノスタルジックな雰囲気を壊すのでノーセンキューではあるんですが……。

それはキャラクターの掘り下げが薄いせいもあるのかも。メインの男女は出番が多いからまあいいとしても、親友・幼馴染・兄貴が空気。勿体ないなぁ……。まあ「2人」の物語なので他がでしゃばるのもアレなんですが、もうちょっと見せ場があっても良かった。

ところでこの「旧校舎」のヒロインのほかにもう1人ヒロインがいまして。退魔師兼生徒会の金髪美人さん。(・∀・)イイネ! 彼女の巫女イラストの挿絵を切った編集は地獄の業火に(ry そしてそれをあとがきイラストで救済したとりしもぐっじょぶ。

第8回えんため大賞<優秀賞>。文章は読みやすいし、読んでいて気持ちのいい話なのでアタリ。まだまだ才能の伸びしろは感じられるので今後に期待。

108年目の初恋。
末永 外徒著
エンターブレイン (2007.2)
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