『僕僕先生』(新潮社)P16

「働かず、何も学ばず、そして何もなさず。前々からおまえの生活態度は最低だとわしは思っておる」
 確かにその通りではあるが、父とはいえそう思いっきり言われると王弁も面白くない。鼻白んでいる息子を前に王滔は続ける。
「しかしおまえの生き方、それはもしかしたら老君の理想としたものに合致するのかも知れんぞ」
「はあ……そうですか」