『沙漠の国の物語 楽園の種子』(小学館ルルル文庫)

小学館ライトノベル大賞ルルル部門<大賞>受賞作。

砂漠の国の物語。地中まで水を求めて根を伸ばし、その土地に水をもたらす聖樹シムシム。人の好意悪意に敏感な其れは育てることは困難であるが、唯一<聖地>ガウルでは長年シムシムが枯れずにいた。聖樹に選ばれ、その種子を他の土地へ運ぶ<使者>に選ばれた少女。しかし出立の日、盗賊がその種子を狙って聖地を襲い、少女は助けてくれた少年と旅をすることに――

ストーリーのまとまりというか完成度が高くて読後感が爽やか。キャラクターがやや少女趣味ながら(当たり前)、ヒロインの少女のまっすぐさが心地良いですな。砂漠という舞台も結構いいよね。あと、火の精霊とか土の精霊とかを使う<精霊(ジン)使い>の要素アリ。

気になるなら買って損はないでしょう、という感じかな。あ、そういえばルルルは巻末に選評が載ってるのね。

余談。「沙漠」と気取った造語はタイトルだけにしとけよ! 本文中で「沙漠」と「砂漠」の記述が混ざっちゃってるじゃん! と思ってたら「沙漠」は「水が少なく作物の育ちづらい荒地全般」というちゃんとした単語だそうで(「砂漠」は砂地のみ)……無知を晒した阿呆が此処に一人……orz

沙漠の国の物語
倉吹 ともえ著
小学館 (2007.5)
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