『レンタルマギカ妖都の魔法使い』(角川スニーカー文庫)P183

(……本当に、あなたは今も進んでるのですわね)
 穂波は、アディリシアとは違う。
 いつも完璧であろうとするソロモンの姫とは違って、このケルトの魔女は何度も失敗し、何度も迷い、そのたびに少しずつ強くなる。ともに<学院>で学んでいた頃から、少女のそんな姿が眩しかったなんて――絶対に口にはしないけれど。
 でも、それでいい。
 人生なんて、少しばかり長すぎる。
 競い合う相手がいないと、きっとつまらないだろう。
「何?」
「何でもありませんわ」
 しれっと、アディリシアが首を横に振る。
「ふーん、ホントに?」
「本当に!」