『円環少女6』(角川スニーカー文庫)P244
「悪いな。おまえの命、しばらく俺にくれ」
だが、メイゼルはうつむいて、ワンピースの肩に仁がのせた右手をぎゅっと握った。
「あたしから、命だけなんか切り分けられるわけないでしょ? そんなの、あげないの」
そしてあどけない魔女が、振り向いてほほえんだ。嗜虐的にとろけながら、花咲く前夜のつぼみのように初々しく。
「――せんせ、そういうときは『おまえを全部ほしい』って言うのよ。みんなに聞こえるくらい、大きい声で」
「悪いな。おまえの命、しばらく俺にくれ」
だが、メイゼルはうつむいて、ワンピースの肩に仁がのせた右手をぎゅっと握った。
「あたしから、命だけなんか切り分けられるわけないでしょ? そんなの、あげないの」
そしてあどけない魔女が、振り向いてほほえんだ。嗜虐的にとろけながら、花咲く前夜のつぼみのように初々しく。
「――せんせ、そういうときは『おまえを全部ほしい』って言うのよ。みんなに聞こえるくらい、大きい声で」