『円環少女6』(角川スニーカー文庫)

最 高 傑 作 。

いつも投票モノの「シリーズ部門」で迷うんですが今年はこの1冊がガチすぎる。前巻でメイゼルが狙撃され瀕死。ジンはメイゼルを救うため公館を裏切り地下の無辜の住民を殺す戦いへと身を投じる――という物凄いヒキから待たされまくった今巻。……凄すぎた! もうお前どんだけ読み応えあるんだよ、と。これはもうライトノベルじゃないよヘビーノベルだよ!(意味不明)

もうこれ以上は悲惨にならないだろうと思ったジンの境遇…なのに冒頭で鬼火にあっさり右腕を斬り落とされ、その腕を魔法で治療したら代償としてガン細胞が活性化……この時点でこの巻ラストでジンが死ぬとしか思えない。さらには眼ですよ眼! お前はどんだけボロボロになって戦うんだと。奈須きのこ作品の英霊の壮絶で悲しい過去回想エピソードをリアルタイム主人公でやる気か。

そんな中公館の一般職員の署名にはちょっとウルっときた。それを「偽善」とか言っちゃう作者マジツンデレ。そういえば本シリーズって、基本の展開だけを抽出するとご都合ハッピーエンドっぽいんだけど、でもそれに対して「偽善だ」とか「幸せな未来を犠牲にして為したものでした」みたいなビター味でコーティングしてるのでそれが「基本ハッピーエンドが好きなんだけど、ちょい鬱な感じがないと物足りない」私みたいなヒネクレさんの好みに合ってるんですな。

今回はもういろいろ魅力的なものが多すぎてどうしよう。なにより《茨姫》オルガが素敵すぎてやばい(問題発言)。あと「かえせっ! かえせっ」の神和とか反則ですね。シリアス空気だったのにニヤニヤしたよ! あとやっぱりエレオノール姉様が神々しすぎて素敵。そしてジェイク隊長……「失敗作」の寄せ集め隊だったと明かされて、以前「作戦終わったらみんなでカラオケ行くぞ!」とか言っていたジェイク隊長を思い出して俺涙目。そしてラストバトルでメイゼルの目から鱗のアドバイスはもとより、ジンが”先生”であるからこそ子供たちの力で”悪い魔法使い”を倒すとか…もう教師のマネごとをしていたのがここに繋がるか!って感じでもう…!

いやぁ、珍しく読むのに時間がかかって数日この1冊だけ読んでたんですがじっくり読めて満足しきり。やばいよ! 円環少女やばいよ! 「お前が今まで読んだラノベで好きなシリーズ5つあげろ」って言われたらまず入れるよ! それにしてもこのシリーズってエピソード最終回なのに毎回シリーズ最終回レベルのラスト持ってくるよな……それで次はそれを超えてくるんだから怖い子…