長谷敏司

『円環少女6』(角川スニーカー文庫)P244

「悪いな。おまえの命、しばらく俺にくれ」 だが、メイゼルはうつむいて、ワンピースの肩に仁がのせた右手をぎゅっと握った。 「あたしから、命だけなんか切り分けられるわけないでしょ? そんなの、あげないの」 そしてあどけない魔女が、振り向いてほほえ…

『円環少女6』(角川スニーカー文庫)

最 高 傑 作 。いつも投票モノの「シリーズ部門」で迷うんですが今年はこの1冊がガチすぎる。前巻でメイゼルが狙撃され瀕死。ジンはメイゼルを救うため公館を裏切り地下の無辜の住民を殺す戦いへと身を投じる――という物凄いヒキから待たされまくった今巻。………

『円環少女6』(角川スニーカー文庫)P334

「俺は、たぶん、子どもがあたりまえに成長しておとなになる、あたりまえのことが現実になってほしいんだ。そんなことのために、誰かが苦しい思いをしなきゃいけないなら、そばにいるおとなが踏みとどまってやるべきじゃないか? メイゼルはしあわせになって…

『円環少女 5 魔導師たちの迷宮』(角川スニーカー文庫)

以前からかなりオススメのシリーズでしたが、うん、今回ので1ランク上に格上げでございます。”わかりやすい”味が多い(というか売りの)ライトノベルには珍しい重厚さを持ち始めてきています。オススメ。今回は近代史の要素も混ぜてきて、元から割と物語の…

『円環少女 5 魔導師たちの迷宮』(角川スニーカー文庫)P106

「せんせってときどき、荷車を引くウマみたいにつらそうな顔をするのね。でも、ウマって、背中にご主人様を乗せてお尻にムチを入れられてるときが、一番生き生きしてると思うの。せんせも、ムチをもらったウマみたいに、大声ではずかしいこと言いながら汗を…

『円環少女 5 魔導師たちの迷宮』(角川スニーカー文庫)P54

「せんせ、はじめたあたしたちが会ったときみたいな顔してるわ」 「そうかな。前よりちょっと締まった顔になってるんじゃないか?」 メイゼルは、彼の手の甲に、やわらかい爪を立てたり指をつまんだりして遊びはじめる。明日を知れない少女は、生の確かさを…