『君のための物語』(電撃文庫)
第14回電撃小説大賞<金賞>受賞作。
今期の電撃大賞は不作ばかりか! と嘆きかけた今月のラストに現れた救世主。万人にオススメできる今期ラノサイ杯投票確定枠。
小説家への夢破れた青年と、画家への夢破れた女性。女性が川に飛び込もうとするのを青年が身代わりに救った時、不思議な、紳士然とした青年が現われて場をしきってしまった。奇妙な「彼」と、私、そして彼女の運命はこうして交わり――
帯で壁井ユカコも言ってますがこの1章が本当に白眉。印象としては”優しい死神の物語”みたいな感じ。丁寧で上品な語り口、素直で優しい登場人物たちがこの作品の雰囲気を本当に良くしてますね。進みはゆっくりですがじっくりと長く楽しめます。
登場人物が少年少女じゃないし、ボーイミーツガールでもないのでラノベ的に売りにくいかもしれませんが、こういう作品も増えていって欲しいところ。主人公の青年と「彼」の友情がとても良いです。表紙で腐女子向け?と勘ぐった私をお許しください。
最後のあたりは素直にうるっと来てしまいましたよ。難点としてはたぶんカラーイラストとかを見て購入を決めたりするだろうに、このカラーイラストがあまり本編をの見どころを反映してないことですね…。銃とかマジどうでもいい……イラストも最初は「売れなそー」と思いましたが、内容の雰囲気にばっちりで良い人選だったと思います。
永い時を生きる青年の、優しい、少し不思議な物語。オススメです。
- 作者: 水鏡希人,すみ兵
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2008/02/10
- メディア: 文庫
- クリック: 238回
- この商品を含むブログ (105件) を見る