『TO THE CASTLE』(スーパーダッシュ文庫)

ちょうど引越しと新刊発売で買うものが落ち着いている時期が重なったので積み本消化期間です。ここだけ時空が違います。まずは『神様家族』の桑島由一の2003年10月発売の奴。

「ドゥー・ザ・ハッスル」と「トゥー・ザ・キャッスル」をかけたタイトルの楽しいギャグファンタジー。あとがきによると「なんでファンタジー系のRPGってBGMがクラシックばかりなのだろう」⇒「別にロックだってテクノだって結構いいんじゃないのか」というわけで生まれた作品。

世間知らずで横暴・迷惑千万なお姫様が竜に囚われてしまった牢屋から脱出、竜に襲われているおうち(お城)を目指していざ旅へ。お供は一緒に牢屋に放り込まれてしまった無愛想な少年と、長年使えている変態執事セバスチャン。それに脱獄したときになんかノリでお供にしてしまった竜の少女(人間形態)。ギャグ変態変態ギャグの楽しい旅が始まった!

やー、これは面白い。横暴な姫様、ってのは王道ながらDQNに感じる不愉快さがないので良いです。竜の少女もぽてぽてしたロリというか、割合無邪気な感じで姫に振り回されていて楽しいです。そしてなによりセバスチャン! この小説の面白さの6割はこの変態執事の面白さです。萌え文化的な意味で。ファンタジー世界、渋い執事、でもハイテンションヲタというギャップ萌え。

そしてラスト1割が信じられないくらいシリアスでびっくり。それでいて本作らしいオチでしめて大団円で良い感じ。1冊だけで楽しめるので昔の作品ですがオススメ。

余談。著者紹介の作者名のふりがなで「よしかず」だと知る。ずっと「ゆういち」だと思ってた…と思ったらSD編集長にもずっと「ゆういち」と呼ばれていて「ぜったいボクのことが嫌いなんだ」というのが巻末ネタでした。…さーせん。