『トリプルプレイ助悪郎』(講談社)

ああ、気がついたら『ダブルダウン勘繰郎』発売から4年半も経っちゃってますよ……

というわけで『JDCトリビュート』第2弾。開祖・清涼院流水御大の作り出した探偵集団「日本探偵倶楽部(Japan Detectives Club)」の世界観を使って別作家(西尾維新舞城王太郎大塚英志)が好き勝手やろうぜ、っていうまぁ、今で言うところのポリフォニカみたいな。

原典が原典なだけに(探偵350人とか連続殺人1200人とか割と普通)好き勝手やれる余白があり、西尾維新のこの2冊も原典を読んでいなくても割と問題ありません。読んでいるとちょっと嬉しいけど。ただ、まぁ、西尾維新とかファウスト系に傾こうという人にとってJDCシリーズは読んでおくべき必修科目だと思うので厚さに負けずにがんばれ。書評を調べると悲惨すぎるけど私は大好きですよJDC。


前フリ終わり。なんか久々の(昔の)西尾維新な感じ。いや毎月『刀語』読んでるんだけどアレはなんか…俺が熱かった頃の西尾じゃない……。まぁ、じゃあ本書が面白かったかっていうと微妙なんだけど。やー、トリックがアンフェア、そしてそれ以上に不愉快だろ常考。『ダブルダウン』にあった言葉遊びの名文もないしなぁ。なんか最近の西尾は筆が早いけどその分手をかけなくなったというか、充分に練って細かな細工をしなくなったというか、プロット垂れ流しの大量生産になってる気がする。

それにせっかくのJDC世界観なのに無茶振りがなくてちょっとがっかり。別にJDC世界じゃなくてええやんこの話。そして「シリウス」掲載時のイラストがなくてちょっと凹んだ。

トリプルプレイ助悪郎 (講談社ノベルス)

トリプルプレイ助悪郎 (講談社ノベルス)