『不気味で素朴な壊れた世界』(講談社ノベルス)

待望の続編!ではあるが…

きみとぼくの壊れた世界』から4年ですか…続編が出るとは思ってなかったので「待っていた」という感じはあんまりしませんね。むしろ「まさか出るとは!」といった予想外のプレゼントな感じ。

で、出来ですが…うーん? 悪くはない。悪くはないんだけど『きみぼく』ほどではない、『りすか』以上『刀語』以下とかそんなポジション。『刀語』をちゃんと毎月買ってる人とか『きみぼく』が好きな人にはオススメですが(てかもう買ってるに違いない)その他の人には強くは勧めないかなぁ。いや決して駄作ではないんだよ?

ただ…なぁ。言葉遊びが一杯なのは良い。ただ今回は良台詞ではなく似た単語による所謂ダジャレ的なものが多いので微妙。そのうえそのせいで横道に逸れ過ぎて本筋が遅々として進まずちょっとイライラするかも。

ストーリーも推理小説だと思うと泣きを見る。まあ西尾だからしょうがないと言えばそうなんですが、それでも期待したものが肩透かしされたような微妙な消化不良感が残るんですよねぇ。

あとそうそう、基本『きみぼく』と似たニュアンスのストーリーだと思えば良いんですが『きみぼく』に比べると主人公と容疑者の関係が「知人以上友人未満」なので殺人事件が起きて人間関係がアレになっても別にそれほど迫るものがないというか……キャラクターの魅力もちょっといまひとつな印象だし。

そして挿絵。TARGO絵がどうとかは今はいい。問題は章の最初に見開きでその章の内容を数枚カットした挿絵なことだ……これだけでストーリーラインがほぼ予想できてしまうんですよね…


とまあ不満点がやたら目立つんですがそれでもこの続編は嬉しいですよ。これを読んだらもう「次! 次が出ないとおかしいだろ! シリーズ的に次が出ないと落ち着かないだろ!」と3巻目に期待せずにはいられません(ストーリーが続いてるとかそういうことではなく、読後感というか気分というか、ね)。

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)

不気味で素朴な囲われた世界 (講談社ノベルス)