『電撃h&p(はじまり&ピリオド)』

こないだの電撃15年祭で売ってた、もはや恒例となったパロディ本。目新しさはもうないけれど、作者の自虐っぽい愚痴(楽屋ネタ)や、使いたいけど著作権・作品世界的に言えないアニメ・漫画ネタを堂々と作品に混ぜちゃおう的なノリがわかる人にはとっても楽しい。

今回は”はじまり&ピリオド”というテーマ。「幻の最終回」は割とみんな最終回っぽいのを書いてたけど「幻の第一話」はあまりその縛りがなく単なるパロディという感じ。作家たちの対談が一番面白かったw 作品としてはレジンキャストミルクウィザーズ・ブレインが良。そして今回なにより本編に超食い込む弩級のネタをばらした『バッカーノ!』がやばすぎる。おまけ的な掌編でこういうことをやるからホント成田作品は地獄だぜフゥーハハハー。

んじゃ各話感想。ネタばれなので買った人は読まないよーに。


キノの旅「最終回の国」-Goodbye,KINO!-
「最終回の国」を訪れたキノとエルメス。その国は強制的に最終回が発生して国に定住してしまう国で――

キノってこんなテンション高い子だっけ?(笑) まあ本当の最終回ネタを書くわけにはいかないだろうけどちょっとストーリー的にショボい感じ。


いぬかみっ!〜もしかしたらifに繋がる最終話〜
今回一番シリアスな話がまさか「いぬかみっ!」とはな……他には「断章のグリム」がややシリアスなくらいで他は馬鹿ばっかなのでこのシリアスっぷりが浮く浮く。KYすぎる。1巻とアニメをちょっとだけ観た私の感覚だと「いぬかみっ!=ふんどし・全裸・ホモ」なんですが。本編未読者には意味不明なストーリーで不親切でしたな。


○護くんにエンディングの祝福を!
護とサブヒロインがくっつくifエンド……の悪夢を見る絢子、というストーリー。まあ可もなく不可もなく? 原作未読なのでなんとも。


断章のグリム『金のかぎ』
グリム童話」の最後に収録されている話をここで使ってしまうとは……。ちょいシリアスだけどほのぼの日常会話からの延長なので別に違和感なし。空気読んだ。


◎キーリ めろめろ昼メロ劇場〜ハーヴェイ受難編Final
マジ自重しろw 冒頭にお断りがある通り最終巻の余韻をぶち壊します。ハーヴェイを認知症扱いにマジお茶吹いたわ……認知症の夫を介護しながらハーブ店を切り盛りする若妻キーリ17歳。若い身体を持て余したキーリは身体の動かない夫に強精剤を飲ませたり、訪ねてきた居酒屋の青年に襲われるのを妄想したり、借金取りに来たヤクザに手ごめにされるのを妄想したり……ひどい(笑)

 子づくりって兵長あんた、本編では接吻はまだ許さんとか堅物キャラだったくせしてなんで毎回パロディではそっちの方向に強引に進めようとするんだよ。だから『キーリ』のピュアな読者が引くだろうが。ていうか作者がノリノリで書いてるだろ。これが作者の本性か。『キーリ』が終わってからの発表作では嬉々としてエロ描写して最近の新作じゃ逆に「壁井さんにしては珍しくキスどまりでしたね」とか読者に言われる始末だもんなっ。
 ……はっ。ごめんなさい俺が言いすぎました。(P39)

お茶吹いたw


ブギーポップは終わらない!?
見開きカラーイラストのみ。凪が半脱ぎ。


ウィザーズ・ブレイン 最終回狂想曲
最近ウィザブレもこういうのに混ざるようになってきたな(笑) 漫画を放り込むと最終回を発生する装置をネタに、ウィザブレキャラが野球漫画や料理漫画、推理小説をやったらどうなるかパロ。野球で「分子運動制御」を使ったりといった予想通りのオチも楽しいがなにより作者の自虐とアニメネタが多めで(ネタを知ってると)結構笑えるw 魔法少女ものを装置に投入したセラ――

魔法少女リリカルセラ
 最終話「決戦は空の上で、です」

「お願いです! D3」
『了解しました、マスター(All right,my master)』
 本編ではもちろん話す設定など無かったD3が流暢な英語で答える。
(中略)
「リリカル、マジカル――!」

「ダメ――――――!! それは絶対にダメ――――――!!!!!!」
 月夜の叫び声が闇の中に響き渡った。(中略)
「ダメ、ダメ、ダメ! それだけは、もう、本当にダメ!」(中略)
 ディーは「で、でも」と果敢に反論し、
「これが一番セラに似合いそうだったんですよ? 二十一世紀初頭のデータを全部集めて、当時の評価とかも色々調べて……」
「だから、それがダメなのよそれが!!」月夜は最終回発生装置の黒いボディをばんばん叩き「ただでさえこの作品って『設定似てる』とか『キャラ被ってる』とかさんざん言われてるし! 世の中には発行年月日もまともに調べないで『アーサー王伝説はゲームのパクリ』とか本気で言いだすイっちゃった人もたくさんいるし! だいたい、その時代のデータ漁ったんなら、なんで『撲殺天使』とか『炎髪灼眼の討ち手』とかもっと版権的に当たり障りの無いヤツ見つけてこなかったの!」
「は、版権……?」(P57)

「設定似てる」とかはあとがきにBGM書いちゃう作者も作者だと思うんだ(笑) にしても電撃作家内で「なのは」の人気は異常。


終わりのクロニクル 春景色
舞台(奥多摩)探訪のアルバムと初期設定ラフ集。


○こんな『とある魔術の禁書目録』の第一話は嫌だ!! or こんな最終回は嫌だ!!
第一話なのか最終回なのかを謎にしてそれを話のネタにした心意気は買う(笑) ただストーリーは微妙かな。まあそれはさておきネコ耳捨てミサカ最高。


◎一千万部突破計画
「一千万部突破するには?」というネタでの作家たちの対談。有名すぎる漫画・アニメネタを提案しては一同「新しい、新しい(笑)」と言って笑いを誘う微妙に危険なネタ。ただ元ネタを知ってるとかなり笑える。

鷹見「ボーイミーツガール。女の子ちょっと訳あり」
古橋「ボーイミーツボーイ?」
一同「え?」
鈴木「それは三枝さんの分野?」
三枝「いや、そこは有沢さん(笑)」
有沢「え〜?」
藤原「とりあえず人が死ねばいいんですよ(ぼそ)」
時雨沢「早いよ、まだ早いよ、それは」
三枝「早い! 焦るな!(笑)」
藤原「人死には売れますよ! 感動的に人が死ねばいいんですよ!」
古橋「まあ、感動は必要ですよね……」
藤原「遺骨をどこからかばらまけばいいんですよ!」

さすが電撃の黒い太陽! そこに痺れる憧れるゥ!

水瀬「殺人鬼は必須ですよね?(きっぱり)」
鈴木「それでモノの死の線が見えるとかいうのは?」
一同「新しい、新しい(笑)」
御影「それで死ぬ訳のないヒロインを殺しちゃうとか」
甲田「お前ら――――!(笑)」
時雨沢「ヒロインが過去の英雄の生まれ変わりというのも……それで女という設定にすれば(ぼそっと)」
古橋「誰の生まれ変わりだといいですかね?(笑)」
藤原「アーサー王の生まれ変わりとか新しくないですか?(しれっと)」
一同「新しい、新しい(笑)」
鈴木「今まで聞いたこともない!」
水瀬「ぬけぬけと(笑)」

ただのヲタ会話じゃねーかwww というかここまで全員がネタがわかるってのもどうかと(笑)

藤原「あとはキノに対抗してサブヒロインはバイクにしましょう!」
三枝「バイクですか? 普段は人型だけど、変形する訳ですね?」
古橋「時々、四つんばいになる(笑)」
水瀬「なら、口癖は主人公に対して『早く私にまたがって!』」
一同「みなせさ〜ん(笑)」
藤原「始まった。また水瀬さんの病気が始まった!」

水瀬www 

あと「キノを入れよう、じゃあキノが髪が赤くなって日本刀で、獣耳つけて一人称「わっち」で! あとオタクを隠してるとか(笑) ブギーも入れましょうブギーも」と盛り上がってるときに

時雨沢「他はえ〜と、爆弾」
藤原「え? 爆弾?」
鈴木「ああ、古橋さんの『ある日、爆弾がおちてきて』」
古橋「そんなところで気を遣わなくて良いですよ!」

に全俺が泣いた(笑) 裏話・楽屋ネタ好きとしてはこの対談がこの本で一番面白かったw


△学園ホロたん
ホロがセーラー服!という一点突破ネタ。作者も言ってるけどコメディはキツかったな…起承転結がちゃんとできてなくてなんかぐだぐだな感じ。


とらドラ!〜ドラゴン食堂へようこそ〜
本編の10年後、27歳の竜児が脱サラして食堂を興し、そこで初めて実乃梨や大河に出会ったら、というifストーリー。40歳になっちゃったゆり先生を描くなんて、ゆゆぽマジ外道な。


△れでぃ×ぱろ!
れでぃ×ばと!』はエロコメじゃないです、その証拠にエロコメ書いてやんよ! というネタ。本編は1巻しか読んでないのでうまく比べられませんがまあきっと普段通りだったんでせう。


◎おおかみさん禁断の果実をかじり新たなる世界に旅立つ
本編開始前(高校入学前)におおかみさんとりんごさんが百合フラグを立てていたら、というifストーリー。本編同様、エロおもしろい。主観ですがこのシリーズで一番素敵なのは桃ちゃん先輩ですよね。


レジンキャストミルク 〜ああっ硝子さまっ〜
壮絶に吹いたw てっきりタイトルだけかと思ったらこのご時世に「女神さま」ネタを全力で振ってくるあたりに作者の業の深さを感じます……今の子たちはちゃんとわかるんですかね……

そんなわけでレジミルキャラがあの有名な漫画の展開通りに、あの衣装のまま登場したら、というパロディ。作者のコメントが出張りすぎてて面白い。もっとやれ(笑)

「っ……黙りなさいよっ」
 顔を真っ赤にしながら、蜜はその場で一回転。著作権上非常にまずい服装がいつものゴシックへと変わる。
「ちなみに共通点は直情とツンデレと黒髪ね」
 律儀に読者に解説する殊子はとてもうれしそうだった。妙に苛々して晶は叫ぶ。
「安易すぎだ! 謝れ! 三女が大好きな作者の友人に謝れ!」
「……はあ? 何それ。海賊本とはいえ内輪向け過ぎよ。バカじゃないのあんた」
「二十代後半のアフタヌーン読者は全員、女神のどれかに何らかのトラウマ持ってんだよ!」
「作者は?」
 殊子がにやにやしながら尋いてきた。
 言いたくありません。(P163)

漫画・アニメネタも多め。てゆーかやりすぎ。もっとやれ。

「……つまりあっちゃんは……全然反省していない、って訳だ」
「え、いや、へ?」
 芹菜はにこやかに笑っている。
 ……殺気を、まき散らしながら。
「何が不満なの? 硝子ちゃんに対して? 自分で選んだくせに。本編の扱いが悪いって? あたしを振っておいて、あたしをあんな扱いにしておいて、自分に対しては不満なの? どの口がそんなこと言うのかな? かな?」
「いや、りなちゃん、なんで語尾を二回? ……ていうか鉈! なんで鉈持ってんだよ!」
 じゃきん、と。
 芹菜は手に持った鉈を構える。
「少し……頭冷やそうか」
『All right.』
 鉈が流暢な英語で返事をした。
「待っ……りなちゃん? 落ち着いて! りなちゃんは森町だから! 高町じゃないから!」
 晶の絶叫は届かない。
クロスファイアー……シュート」

このあと次回予告タイトルが「みんなの晶」。そしてボートの写真と切り裂きジャック事件を鑑みての掲載中止のお知らせ。…なんというスクイズ


乃木坂春香の秘密 第0話
本編の出会いがもっと別だったら、と想像するエピソード。もし春香がドジじゃなかったら…出会わない→終、みたいな感じ。んー、普通。


バッカーノ! B.C.300〜Notorious B・E・Ginning〜
ロニーさん誕生秘話。ぎゃー!ぎゃー! 数ページしかない限定本でこんな超重要なネタやっちゃっていいのかよ! ていうか「不死の酒」についても超重要な事言っちゃってるよ! これシリーズグランドフィナーレ用のネタじゃないのかよいいのかよ!? と読んでる方が大慌て。この本買ってない成田ファン涙目www


デュラララ!!×0 さよなら、帝人先輩
帝人が池袋に来る前、中学の卒業式。モテなかったし凡庸だった、とぼやく帝人の預かり知らぬ体育館では人外・異形の少女たち総勢32人(全員新キャラ)による「帝人争奪戦」が開始されているのだった!

キャラメイクに関して成田に並ぶ者はいないなホント…流石に32人分の全選手入場は怒られたらしいですが。しかしこのあたりのキャラが本編に出る確率はかなり高いのが成田の怖いところ。てゆーか出せ。

バッカーノ!』で押さえてたわけではないでしょうがこっちは漫画・アニメネタのオンパレード。『絶望先生』に始まり、

【諸君 私は竜ヶ峰帝人が好きだ。
諸君 私は竜ヶ峰帝人が――大好きだ】


中略


12分後――
【――カラシニコフの裁きの下、5・45ミリ弾でやつらの顎を喰いちぎ……】
『ストーップ! 超ストップですよ理事長さん! タダでさえ違うのに、最後別の人の演説になってますから!』(P198)

烏龍茶吹いたw この組み合わせは最強www

なんだかんだで電撃文庫作品を多く読んでる人にとってはかなり面白いんですよねこの海賊本。興味持った人はイベントに行けなかった&行かなかったことを悔みつつ「再販しろー、再販しろー」と呪いのメッセージを編集部に。まあ、きっと通販とか、アニメイト販売とかするっしょ。